退院の日、チャイルドシートは必要?新生児を車に乗せる前の5つの確認
出産予定日が近づくと、入院バッグの中身と一緒に気になってくるのが「退院の日、赤ちゃんをどうやって家まで連れて帰るか」です。自家用車で帰るつもりなら、答えははっきりしています。生まれる前に、乳児用のチャイルドシートを用意しておく必要があります。
「新生児のうちは抱っこでいいのでは」「退院の日だけだから」と考えたくなりますが、これは法律の面でも安全の面でも通りません。この記事では、その根拠と、退院前に確認しておきたい5つのことを、一次情報にあたって整理しました。
結論|チャイルドシートは「退院の日」から必要です
道路交通法は、6歳未満の子どもを車に乗せるとき、チャイルドシート(幼児用補助装置)を使うことを運転者の義務としています。条文はこうです。
自動車の運転者は、幼児用補助装置(中略)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
道路交通法第71条の3第3項(警察庁「子供を守るチャイルドシート」より引用)
ここでいう「幼児」に下限はありません。生後0日の新生児も対象です。ただし書きにあるとおり、病気などで使わせることが療養上適当でない場合や、政令で定めるやむを得ない理由がある場合は例外とされていますが、これは「退院の日だから」「近所だから」という理由には当てはまりません。
そして義務を負うのは、赤ちゃんの保護者ではなく運転している人です。祖父母の車に乗せてもらう場合も、責任は運転席の人にあります。誰の車で帰るかが決まっているなら、その車に付くチャイルドシートを用意しておく必要があります。
数字で見る|1歳未満の使用率は93.2%。それでも15人に1人は使っていない
警察庁と日本自動車連盟(JAF)が2025年5月10日から6月14日にかけて実施した全国調査によると、6歳未満のチャイルドシート使用率は全国平均で82.4%(前回比+4.2ポイント)でした。年齢層別では次のとおりです。
| 年齢層 | 使用率 | 前回比 |
|---|---|---|
| 1歳未満 | 93.2% | +1.5ポイント |
| 1歳〜4歳 | 84.8% | +4.1ポイント |
| 5歳 | 66.7% | +8.8ポイント |
| 6歳未満 全体 | 82.4% | +4.2ポイント |
1歳未満は93.2%と、他の年齢層より高い数字です。それでもおよそ15人に1人は使わずに乗せているという計算になります。
警察庁は、チャイルドシート不使用者の致死率は適正に使用していた人の約5.3倍だとしています(令和7年中の統計)。数字が大きいので身構えてしまいますが、裏を返せば、正しく使えばそれだけ守られるということでもあります。
「抱っこ」も「クーハン」も、チャイルドシートの代わりにはなりません
JAFは、退院時に自家用車で帰るなら妊娠期間中にチャイルドシートを準備しておくよう呼びかけたうえで、次の2つをはっきり「×」としています。
- 車内で抱っこ……赤ちゃんの体はまだやわらかく、揺れる車内で抱えるだけでは守りきれない
- クーハン(かご型のベビーキャリー)……見た目は乳児用チャイルドシートに似ているが、まったくの別物
急ブレーキ1回でも、大人の腕で赤ちゃんを支えきることはできません。JAFは、チャイルドシートを使わずに乗せていると、シートの金具に頭をぶつける、座席の下に転げ落ちる、最悪の場合は車外に投げ出される、といった危険があると説明しています。
逆に言えば、乳児用チャイルドシートを使えば、生まれたばかりの赤ちゃんでも車で移動できます。「新生児には早すぎるのでは」と心配する必要はありません。
退院前に確認する5つのこと
1|まず買うのは「乳児用(ベビーシート)」
赤ちゃん用のチャイルドシートは「乳児用チャイルドシート」「ベビーシート」と呼ばれます。JAFによると、乳児用は生後15か月未満かつ身長83cmまで使えるのが目安で、製品によってはそれ以降も使えるタイプがあります。
新生児から使えるかどうかは製品ごとに違うので、購入前に対象体重・対象身長の表示を必ず確認してください。
2|赤ちゃんのうちは「後ろ向き」で使う
現在の安全規則R129(UN-R129)では、身長76cm以上かつ月齢15か月を超えるまで、前向きタイプの使用が禁止されています。前面衝突のとき、後ろ向きのほうが背もたれ全体で衝撃を受けられるためです。
「早く前を向かせてあげたい」と思っても、ここは月齢と身長の両方が条件を満たすまで待つところです。
3|自分の車に取り付けられるか(ISOFIX対応かどうか)
車種によっては取り付けられないチャイルドシートがあります。JAFは、購入前に自分の車に付けられるかを確認しておくと安心だとしています。
取り付け方式には、車のシートベルトで固定するタイプと、座席の金具にコネクターを差し込むISOFIX(アイソフィックス)タイプがあります。ISOFIXは差し込むだけで固定できるため、取り付けミスが起きにくいのが利点です。ただし車側がISOFIXに対応している必要があるので、車検証や取扱説明書で対応状況を確認してください。
里帰り出産などで実家の車にも乗せる予定があるなら、付け替えのしやすさも選ぶときの基準になります。
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ISOFIX対応かどうかで取り付けやすさが大きく変わります。対応の有無は必ずご自身の車種と合わせてご確認ください。新生児から使えるかどうかは、製品ごとの対象体重・対象身長の表示でご確認ください。
価格・在庫は変動するため、最新情報は各サイトでご確認ください。
4|「買って終わり」ではない。取り付けと座らせ方まで
同じ2025年の全国調査には、見落とせない数字があります。
| 区分 | 適切に取り付けられていた割合 | 適切に座らせていた割合 |
|---|---|---|
| 乳児用 | 80.5% | 58.6% |
| 幼児用 | 69.3% | 42.2% |
| 合計 | 74.8% | 55.6% |
乳児用でも、適切に座らせられていたのは58.6%。使っていても、ハーネスがゆるい、肩ベルトの位置が合っていない、といった状態が4割ほどあるということです。取り付けたあとに販売店や自治体の講習で見てもらえることもあるので、不安なら一度確認してもらうと安心です。
取り付け方法は製品ごとに違います。必ず取扱説明書の手順に従ってください。
5|自動車保険の条件が、いまの暮らしと合っているか
赤ちゃんが生まれると、車の使い方は変わります。運転する人の範囲、使用目的、年間走行距離——契約時の条件が実態と合っていないと、保険料を余計に払っていることもあれば、いざというときに補償が届かないこともあります。
産後しばらく運転から離れていた人は、中断証明書を使って以前の等級を引き継げる場合もあります。詳しくは運転再開ママの自動車保険|中断証明書と等級引き継ぎの話にまとめています。
赤ちゃんを乗せる前に、自動車保険の条件を実態に合わせる
家族が増えると、運転する人の範囲も、使用目的も、走る距離も変わります。条件が実態と違っていると、保険料を余計に払っていることもあれば、逆に補償が届かないこともあります。複数社の見積もりを比べると、同じ補償でも保険料に差が出ることがあります。
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保険料や補償内容は条件によって異なるため、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。
あわせて|妊娠中のシートベルトの着け方
チャイルドシートの準備と同じくらい、出産前に知っておきたいのがシートベルトの着け方です。JAFは次のように案内しています。
- おなかのふくらみを避けてベルトが通るように着用する
- 肩のベルトは鎖骨の中央を通す
- 腰のベルトは腰骨付近のできるだけ低い位置まで下げ、おなかのふくらみの下を通す
通常はシートベルトを着用しても問題ないとされていますが、妊娠の状態によって適切な対応は変わります。気になることがあれば主治医に相談してください。
よくある質問
Q. タクシーやバスで退院するときも必要ですか
道路交通法の条文には「政令で定めるやむを得ない理由があるとき」という例外があり、バスやタクシーなど旅客運送事業の車はこれに含まれる場合があります。ただし、免除されるのは法律上の義務であって、安全性が変わるわけではありません。タクシー会社によってはチャイルドシートを備えた車を手配できることもあるので、予約時に相談してみてください。詳しい免除の範囲は警察庁の案内でご確認ください。
Q. おさがりやレンタルでもいいですか
安全基準に適合した製品であれば使えます。確認したいのは、安全基準の表示(R129またはR44の認証マーク)と、製品に記載された使用期限、そして事故歴の有無です。事故に遭ったチャイルドシートは、見た目に問題がなくても内部が損傷していることがあるため、メーカーは使用を勧めていません。自治体によっては貸出制度を設けているところもあるので、お住まいの市区町村の子育て支援窓口を調べてみる価値はあります。
Q. チャイルドシートはいつまで必要ですか
法律上の義務は6歳未満までです。ただしJAFは、6歳を過ぎても体格によってはシートベルトが十分に働かないとして、身長150cm未満の子どもにはジュニアシートの使用を推奨しています。目安は身長ですが、確認のポイントはシートベルトが首やおなかにかからないことです。
まとめ|生まれる前に、車に取り付けるところまで
- チャイルドシートは退院の日から必要。抱っこもクーハンも代わりにならない
- まず買うのは乳児用(ベビーシート)。目安は生後15か月未満・身長83cmまで
- 身長76cm以上かつ月齢15か月超になるまでは後ろ向きで使う
- 買う前に自分の車に付くか(ISOFIX対応かどうか)を確認する
- 取り付けと座らせ方まで、取扱説明書のとおりに
- 赤ちゃんを乗せる前に保険の条件を実態に合わせておく
退院の日は、思っているより慌ただしく過ぎていきます。車に取り付けるところまで済ませてから入院日を迎えられると、当日の負担がひとつ減ります。
産後の運転再開そのものについては産後の運転はいつから?経腟分娩・帝王切開ごとの目安と、こわさを乗り越える手順、帝王切開だった方は帝王切開のあと車の運転はいつから?医師に確認したいことと傷への負担を減らす工夫もあわせてどうぞ。チャイルドシートの選び方をもう少し詳しく知りたい方はチャイルドシートで後悔しない選び方3つのコツにまとめています。
関連記事:赤ちゃんとの車移動は何時間まで?泣いたときに安全に停まれる場所と休憩のとり方
出典・参考
- 警察庁「子供を守るチャイルドシート」(道路交通法第71条の3第3項の条文、使用率、致死率)
- JAF「チャイルドシート完全ガイド いつまで必要?取り付け方は?」
- JAF「チャイルドシートの準備をしよう」(乳児用の目安、R129、ISOFIX、妊娠中のシートベルト)
- JAF「チャイルドシート使用状況調査(2025年調査結果)」
本記事の数値は2026年8月時点で各一次情報を確認したものです。制度や統計は更新されることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。医療・健康に関する判断は個人差が大きいため、必ず主治医にご相談ください。
